北タイからワンランク上のインテリア雑貨たち
タイに住む6つの山岳少数民族の中、カレン族は人口約 110万人で最大規模の民族です。チベットからミャンマー周辺に起源をもつというこの民族はスゴーカレンとポーカレンに別れ、ポーカレン族は全体の約12%。ソップモエ地域に住む大半の人々は、少数派のポーカレン族です。
一般的にポーカレン族はスゴーカレン族に比べて外部との交流を好まず、家族や血族関係を重視して、独自の文化とアニミズム信仰を守っています。焼き畑農業で米や野菜を作り自給生活を送ってきましたが、安定した収入がないため、今でも栄養失調、病気、貧困問題などをかかえる人々が多いのです。
1977年、ケント・グレゴリー夫妻が入村したころ、ソップモエ地域に通じる公道はなく、農業も十分にできない山奥では妊婦や乳幼児の栄養失調や乳児死亡率の高さが深刻でした。夫妻はやがてスウェーデン政府の資金援助を得て、域内15か村で母子保健の指導、助産婦派遣、検診などを無料で提供し続けます。
2000年、タイ政府による保健所がようやく域内に開設され、夫妻が取り組んできた活動は公的サービスにゆだねられます。ただ国の機関ではなかなか手の届かない部分を支援すしていくために、「ソップモエアーツ(Sop Moei Arts)」は現在もカレン族の保健士を雇用して村々を巡回させ、製品売り上げの一部を薬代や諸経費に当てています。
妊婦や乳幼児に栄養価の高いものを食べさせる。山奥で不足しがちな食料を町で補充する。病気治療の薬を購入する。子どもを町の学校に通わせる。こうした生活環境の改善は、やはり現金収入なしには進みません。
そこでカレン族の人々の自立を支援するため、1986年から始まったのが「ものづくり」プロジェクトです。ものづくりの収入で十分生活できるように、製作者には仕事に見合う適切な賃金を支払い、売り上げの利益は新製品の開発をはじめ、村々に水を引くパイプの設置、子どもたちの奨学金などに使われています。